「投資なんて、余裕のある人がやるもの」と思っていました
前回の記事で、大学までにかかるお金を並べました。
あの数字を見て、「毎月コツコツ貯金するだけでは届かないかもしれない」と感じた方もいると思います。
私もそうでした。
そして同時に、こうも思っていました。「投資は、生活に余裕がある人がやるもの。
ひとり親の私には関係ない」と。
その考えが変わったのは、FPの勉強を始めてからです。余裕がある人だけが投資をするのではなく、時間を味方につけられる人が有利になる——それが仕組みとしての事実だと知りました。
ただし、教育資金と投資の組み合わせには、絶対に押さえるべき順番と、絶対にやってはいけないことがあります。
今日はそこを正直に書きます。
1. その前に。新NISAとはどんな制度か
ざっくり言えば、投資で得た利益にかかる税金(通常は約20%)がゼロになる制度です。
2024年から新制度になり、使いやすさが大きく変わりました。
| つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
|---|---|---|
| 年間で投資できる額 | 120万円 | 240万円 |
| 対象商品 | 長期積立に適した投資信託 | 上場株式・投資信託など |
| 非課税で持てる期間 | 無期限 | 無期限 |
- 生涯にわたって投資できる上限は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)
- 売却すれば、その分の枠は翌年に復活する
- いつでも引き出せる(ここが iDeCo との決定的な違い)
教育資金づくりにとって重要なのは、最後の2点です。必要なときに引き出せて、使った枠がまた戻ってくる。
だから「教育資金 → その後は自分の老後資金」と、一つの口座を人生の段階に合わせて使い回せます。
※制度の詳細は金融庁のNISA特設サイトで最新情報をご確認ください。
2. 始める前に。必ず先にやるべき2つのこと
ここを飛ばして投資を始めるのが、ひとり親家庭にとって一番危険なパターンです。
① 生活防衛資金を現金で確保する
目安は生活費の6か月〜1年分。
ひとり親家庭は、収入の柱が1本しかありません。私が仕事を休んだとき、支えてくれたのは投資残高ではなく普通預金の残高でした。
投資は「なくなっても生活が回るお金」で行うもの。
順番を間違えないでください。
② 高金利の借入があるなら、そちらを先に返す
カードローンやリボ払いが残っている状態で投資を始めるのは、穴の空いたバケツに水を注ぐようなものです。
返済を優先したほうが確実に手元が増えます。
この2つが済んで、はじめて積立のスタートラインです。
3. 月いくら積み立てると、いくらになるのか
イメージが湧かないと動けないので、数字を置いてみます。
年利3%で運用できたと仮定した場合の概算です。
| 積立額 | 期間 | 元本 | 概算の到達額 |
|---|---|---|---|
| 月1万円 | 10年 | 120万円 | 約140万円 |
| 月1万円 | 15年 | 180万円 | 約227万円 |
| 月2万円 | 15年 | 360万円 | 約454万円 |
| 月3万円 | 10年 | 360万円 | 約419万円 |
同じ「月3万円・元本360万円」でも、15年かけた場合と10年の場合では結果が変わります。
金額よりも、始める時期のほうが効いてくるのがよくわかると思います。
⚠️ これはあくまで一定の利回りを仮定した試算です。投資に元本保証はなく、運用結果がマイナスになる可能性もあります。
児童手当をそのまま積み立てるという発想
もし児童手当に手をつけずに全額貯めた場合、
生まれてから高校卒業まででおおよそ234万円になります(第1子・第2子の場合の目安)。
「家計から捻出する」と考えると苦しいですが、もともと入ってきていなかったお金として扱うなら、続けられます。
児童手当が振り込まれ口座を生活費口座と完全に分けます。
見なければ、使いません。
4. 何を買えばいいのか
商品選びで迷って半年フリーズする人が、本当に多いです。
判断軸はシンプルで構いません。
- つみたて投資枠の対象商品から選ぶ(金融庁が長期積立向けに絞り込んだリストです)
- 全世界株式か、米国株式(S&P500)のインデックスファンドが定番
- 信託報酬(手数料)が年0.2%以下を目安に
- 1本で完結するものを選ぶ(何本も組み合わせる必要はありません)
金融機関は、ネット証券であれば取扱商品が多くクレカ積立にも対応しています。
銀行の窓口で勧められた商品をそのまま契約するのは避けてください。
手数料の高い商品を提案されるケースがあります。
5. いちばん大事なのは「出口」の決め方
ここが、教育資金と老後資金の決定的な違いです。
教育資金には、使う期限があります。
18歳の3月に入学金が必要なのに、そのタイミングで相場が30%下落していたら?
学費が払えません。これが教育資金を投資で準備する最大のリスクです。
対策は「使う時期から逆算して現金化する」
- 使う5年前:これから積み立てる分を、投資ではなく現金貯蓄に切り替える
- 使う3年前:これまでの運用分のうち、確実に必要な金額(入学金・初年度授業料など)を売却して現金化
- 使う1年前:入学前に必要な現金を、普通預金にすべて移しておく
「もう少し増えるかも」と粘るのが一番危険です。
必要額に届いた時点で、勝ち逃げしてください。
学資保険との比較
| 新NISA | 学資保険 | |
|---|---|---|
| 増える可能性 | 高い(変動あり) | 低い(ほぼ確定) |
| 元本割れ | ありうる | 途中解約時に発生 |
| 引き出しやすさ | いつでも可 | 原則不可 |
| 保障 | なし | 契約者死亡時の払込免除あり |
どちらが正解ということではなく、役割が違います。
「引き出せない」という学資保険の弱点は、裏返せば「強制力がある」という長所でもあります。
貯金が苦手な自覚がある方は、あえて併用するのも合理的です。
6. ひとり親がやりがちな3つの失敗
① 生活防衛資金がないまま始める 相場が下がったときに、生活費のために売らざるを得なくなります。これが一番もったいない負け方です。
② 下がったときにやめてしまう 積立投資は、価格が下がっている時期に安く買い増せることが強みです。値動きを毎日見ないほうがうまくいきます。
③ 老後資金と教育資金を混ぜて管理する どこまでが子どものお金か分からなくなります。
教育資金には奨学金や支援制度がありますが、老後資金にはありません。
口座か記録かで、必ず分けてください。
まとめ:順番さえ間違えなければ、心強い味方になる
- 生活防衛資金(生活費6か月〜1年分)を現金で確保する
- 高金利の借入を返済する
- 児童手当など「もともとなかったお金」から積立を始める
- つみたて投資枠で、低コストのインデックスファンドを1本
- 使う3〜5年前から、計画的に現金へ戻す
投資は一発逆転の手段ではありません。
時間をかけて、淡々と続けた人が報われる仕組みです。
だからこそ、私たちのように「早く始める以外に武器がない」立場の人間にこそ意味があると思っています。
※本記事は制度と一般的な考え方の解説であり、特定の金融商品を推奨するものではありません。
最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。
📌 「うちの場合はいくら積み立てればいいの?」という方へ
お子さんの年齢と進路希望、現在の収入をもとに、
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必要な積立額と、資金が不足するタイミングが一枚の表で見えるようになります。

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